国立新美術館では、「リビング・モダニティ 20世紀の住まいの実験 1920s-1970s」の開催を記念し、国際シンポジウム「リビング・モダニティ―過去・現在・未来」を開催します。本展覧会は、20世紀に始まった住宅をめぐる革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、 ランドスケープというモダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考するものです。
開催記念シンポジウムでは、展覧会で特に力を入れてご紹介する 傑作14邸から国内外6邸の研究に携わる研究者やキュレーターをお招きします。約100年前から行われた建築家たちの住まいの実験がどのように現在の私たちの暮らしに息づいているのか、彼らの描いたモダン・ハウスの夢を次代にどう繋いでいくのか。つくり手、使い手、伝え手の、多角的な視点から検証する機会となります。
ケン・タダシ・オオシマ(ワシントン大学教授、本展ゲスト・キュレーター)
司会:長屋光枝(国立新美術館 学芸課長)
ワシントン大学建築学部教授。建築史、建築理論、デザインを担当。ハーバード大学デザイン大学院、カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授。コロンビア大学で建築史と建築理論で博士号取得。建築史学会会員(2016–18に会長を務める)。
企画した主な展覧会として「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展(2023–24、豊田市美術館、パナソニック汐留美術館、青森県立美術館)。
著書に『Kiyonori Kikutake Between Land and Sea』(2015)、『Global Ends—Towards the Beginning』(2012)、『International Architecture in Interwar Japan: Constructing Kokusai Kenchiku』2009)、『Arata Isozaki』(2009)など。『Architectural Review』、『Architectural Theory Review』、『Journal of the Society of Architectural Historians』、『建築文化』、『Japan Architect』など国内外の雑誌に寄稿
パトリック・モゼ(1969年生まれ)はスイスの著述家、翻訳者、歴史家、博物館学者。スイス、コルソーにある美術館、ヴィラ「ル・ラク」ル・コルビュジエの設立者でありキュレーターである。
2001年、論文『住居から展示空間へ ― ル・コルビュジエの ヴィラ「ル・ラク」を例に』で博物館学博士号を取得。2010年、ル・コルビュジエの遺書(1965 年)に記された遺志を継ぎ、1923 年にル・コルビュジエが両親のために建てた邸宅、ヴィラ「ル・ラク」に 美術館を設立。
その一方で、建築や「モダ ン・ムーブメント」にまつわる専門的な作品に関する一連の 書誌的出版物を創刊した。各書籍のタイトルはフランス語だが、表記は多言語(フランス語、ドイツ語、英語、日本語)で出版されている。
1957年 兵庫県生まれ。株式会社 竹中工務店 設計本部設計企画部所属、経営企画室 サステナビリティ推進部兼務。一般社団法人 聴竹居倶楽部 代表理事。公益財団法人 竹中大工道具館 評議員。北海道大学建築工学科卒業後、竹中工務店入社。
建築設計業務の傍ら近代建築の保存活用や数多くの建築展、美術展に携わる。
主な著書『聴竹居 藤井厚二の木造モダニズム建築』平凡社コロナブックス、『聴竹居 日本人の理想の住まい』平凡社、『聴竹居 発見と再生の22年』ぴあ関西、『聴竹居実測図集』彰国社。聴竹居の一連の活動に対して2018年度日本建築学会賞・業績賞及び日本イコモス賞を受賞。保存・修復・再生に関わった「旧ジェームス邸」が建築学会作品選集とBELCA賞受賞。
東京都生まれ。東京藝術大学美術学部建築科および同大学院修士課程修了。Southern California Institute of Architecture修士課程修了。博士(工学)。日本と米国での設計事務所勤務ののち、日米建築交流史、建築のジャポニスム、女性と住まいを中心に研究。2008〜17年にかけて日本工業大学、東京電機大学、武蔵大学、神奈川大学非常勤講師、2017~21年、芝浦工業大学建築部建築学科特任教授。現在、神奈川大学非常勤講師。
主な著書に『土浦亀城と白い家』(鹿島出版会、2014)、『アメリカの名作住宅に暮らす』(建築資料研究社、2009)『ビッグ・リトル・ノブ ライトの弟子女性建築家土浦信子』(共著・ドメス出版、2001)『アメリカの木造住宅の旅』(共著・丸善、1992)など。
1978年サンパウロ大学(FAU-USP/サンパウロ大学建築都市計画学部)卒業。フランシスコ・ファヌッチとともに「ブラジル・アルキテトゥーラ・スタジオ」の代表を務める。同スタジオで手がけたプロジェクトの数々は、ブラジル国内外で多くの賞に輝いている。また、1986年より木製家具のデザインと製造を手がける「バラウナ工房」の共同設立者。
1977年から1992年まで、リナ・ボ・バルディとともに働き、「SESCポンペイア・レジャーセンター」をはじめとする彼女のプロジェクトに参加。1992年から2001年までバルディ財団を率い、多くの出版物や展覧会を通じてボ・バルディの作品が世界的に知られるようになった。
2003年から2004年まで、歴史的な都市の修復を実施したブラジル文化省「モヌメンタ」プログラムをコーディネート。2006年、米国セントルイスのワシントン大学客員教授。著書に『Arquitetura Rural na Serra da Mantiqueira』(1992年)、『Arquitetura Conversável』(2010年)、モノグラフ『Brasil Arquitetura Studio』(第1巻-2005年/第2巻-2020年)、『Marcenaria Barauna: furniture as architecture』(2017年)など。
文化人類学修士号取得。2004年よりアルヴァ・アアルト財団にて、コレクションと展覧会の両方で様々な職務に携わる。コレクション・チームのチーフ・キュレーターとして働く傍ら、建築図面コレクション、リサーチ・サービスの開発、国際的な作品貸し出しや展覧会のコーディネートを主な仕事としている。アルヴァ・アアルト美術館の館内展示のキュレーションを担当するほか、複数の国際共同企画展にも携わっている。
Photo by Maija Holma
槇総合計画事務所勤務(2000年−06年)を経て、2006年にKMKa一級建築士事務所(2021年にKMKa建築デザイン事務所に改称)を共同開設。2018年より現職。博士(工学)。
主な建築作品に、「赤の家」(2008年)、「八雲の大屋根・小屋根」(一般財団法人IBEC 第6回サステナブル住宅賞 国土交通大臣賞 2015年)、「八度の家」(2019年)がある。
著書には、大学院でレム・コールハースの研究グループの一員として書いた論文が『The Harvard Design Guide to Shopping』(共著・Taschen 2002年)に収められているほか、『住宅・インテリアの解剖図鑑』(エクスナレッジ、2011年)などがある。建築製図の教科書『やさしく学ぶ建築製図』(共著・エクスナレッジ 2011年)でフィッシャー邸を主題にしている。
東京工業大学建築学系助教(2019–24)、建築意匠・設計論を担当。東京工業大学建築学科卒業後、スイス連邦工科大学チューリッヒ校 派遣交換留学(2009–10)。
『住居類型における組成事実からみた現代住宅作品』で博士号取得(東京工業大学)。共著に『いま語り継がれるカーンの霊気: ルイス・カーン研究連続講演会活動記録』(2024)、『コモナリティーズ: ふるまいの生産』(2014)などがあるほか、現代建築の創作に関する論文多数。
建築 /
デザインの歴史と未来を考える[Aプロジェクト]と[ミサワバウハウスコレクション]。
ミサワホームの2つのプロジェクトによる近代住宅をめぐる講演/対談の4日
「グロピウス、ミース、ブロイヤーの住宅」
岸和郎(建築家、本展監修者)
3月22日(土) 15:00–17:00
「コンテンポラリー・モダニティ―現代建築家が紐解く近代建築の巨匠たち」
司会|長田直之(建築家、本会場構成)
「ル・コルビュジエ」 富永讓(建築家)×岸和郎
3月29日(土) 15:00–17:00
「ミース・ファン・デル・ローエ」 西沢立衛(建築家)×岸和郎
4月18日(金) 17:00–19:00
「土浦亀城」 安田幸一(建築家)×岸和郎
5月17日(土) 15:00–17:00
電動で開閉する天井高いっぱいのガラス窓が特徴的なミース・ファン・デル・ローエの「トゥーゲントハット邸」と、水平連続窓で知られるル・コルビュジエの「ヴィラ・ル・ラク」の一部内観を再現したVR映像を公開します。巨匠たちが理想の住空間を実現した20世紀近代建築の名作をご体験ください。